2016年5月25日水曜日

何かが違う

2016年5月25日



障害をお持ちの子供達と関わる仕事を始めて半年が経つ。曜日毎に担当の子供が決まりつつあり、関わる回数が増える毎に子供との距離が縮まっているという実感はあった。それぞれが抱える障害と向き合う事は毎回難しいが、子供の笑顔を見ると、私でも少しはこの子の成長に役に立てたかな…?と思えるから、色々楽ではない事も多かったけれどこれまでやって来られた。勿論、上司や一緒に働いている仲間の協力あっての事だ。だが…。





だが、ここのところ、今まで感じていた事が揺らぎ始めている。これまで私は、わからない事は上司や先輩に相談してやっていた。その度に丁寧に教えてもらえた事は本当にラッキーだった。状況が変わったのは3月下旬の事。我が職場でも新規児童と新規職員を募集し、管理者側が見学やら面接やらで相当忙しくなってからだった。ミーティングの時間もあまり取れなくなり、個別に相談しに行っても、なかなかこちらの思い描くような具体的な答えを得られず、結局は「これは人対人の関係性なのだから、これが絶対正しくてこのやり方ではなくてはいけない…という決まりはないのです。あなたのやり方を見つけなさい」という感じになっていた。確かに、その通りであるとも思う。それに、私の事後報告だけでは的確なアドバイスを出し辛いのは確かな事だろう。3月・4月中は質問しても「とりあえずやってみたら?」的な回答も多く、誰もが自分の事で手一杯な感じで、私も模索状態でなんとか仕事を続けていた。





それから本当に色々な事があった。担当の子と他の子との関係、新たに入所してまだ慣れない子の突然の行動に驚いたり、公園など地域社会で子供達と関わる人とのやりとりの中で、普段はできていた事ができなくなったり、環境の変化は彼らにとっては高いハードル。あまり我慢させ過ぎるのも良くないし、かと言って良くない行動を叱らないのもマズイ。しかしただ叱るのではなく、彼らにどんな行動がいけないのかを理解してもらわないと良くない行動は消えないし、注意するくらいではふざけてわざといけない行動を繰り返したりする。コミュニケーションができていないと、いけない行動をして注目させようとするらしく、これが本当に厄介な事だった。





私はもともと叱るという行為が苦手で、なるべくなら褒めて育てたい。子供にあれやれこれやれ押しつけるのも嫌いだし、手を繋ぐのも子供のほうから要求が出るまで待つ、そう考えていた。でもこの方法で半月間やってきて、最近はどの子も外に出掛ける時、ごくごく自然に手を繋いでくるようになった。子供達が私と安心して過ごせている証拠のようで、私は嬉しかった。





しかし。先々週ミスをやってしまった。言葉が不自由なお子さんなんだけど、公園に行きたいという合図が出たので、一緒に公園で遊んでいた。仮にKとしよう。遊んでいる途中、Kに唐突に何回か「トイレ」言われたが「トイレ? じゃぁ一度戻ってトイレ行こうか」と言うとKは首を横に振って「まだ」とか「出ない」とか「行かない」と言い張る。おかしいな…とは思ったのだけれど、まぁ行かないと言っているし良いのかな? と思って油断していたら、公園で盛大にお漏らしされてしまった。これは私の大きな失敗だった。Kは公園に行く前にお茶と水をたくさん飲んでいたし、しかもKが「トイレ」と言ったのを私は聞いていたのに。私は彼女が出したトイレサインに気付いていながらも、トイレに連れて行けなかった事を悔しく思った。


しかし管理者側は、彼女が出したであろうトイレサインに私が気付けなかったと判断したようだった。そうではないと伝えたのだが、結果的に彼女はお漏らししてしまった訳で、これ以上熱く弁解するのも良くないと思ったし、まずは素直に謝ったのだった。





そして、もうこのようなミスはしないと誓いながら今日も仕事をしていたのだが…。今日の担当の子が別の子とのやり取りの中で大声を出したのをきっかけに、管理者から私へのダメ出しが始まった。彼女は暴走を始めていて、それは私の対応が悪いからだと言われた。彼女を仮にSとしよう。Sは興奮したり、イライラしたり、彼女が何か言った時に相手の反応が無かった時に大声を出して周囲からの注目を浴びようとする。それを止めようとするともっと大きな声を出したり、攻撃的な行動に出たりする。管理者が怒ればすぐ言う事を聞くが、ただの一職員が同じ事をしてもあまり効果が無く、私だけではなく別の職員も苦戦しているのを見ている。ただ、Sにつく回数が増える毎に、大声を出す頻度は確実に減ってきていた。これは担当した私が実感していた事だ。しかし。



しかし管理者から見ると、このような「見逃し」がこの前のような大きなミスに繋がると思ったのだろうか?「 私とSの間には今、何の約束事もルールもなく、こんな野放しの状態では何が起こっても不思議はない、今まで見えないところで何をやっていたのか、今までSに教えてきた良い事・悪い事の訓練を、また一から全てやり直さなければいけないではないか」と批判された。確かに私は、小さな事は敢えて全て見逃したのだ。Sの障害特性として身体のコントロールが弱く、手先も器用でないから、おもちゃや食器などを少々乱暴に扱うのは仕方がない事だと思っていたから。しかも「わざとじゃない」と彼女自身が言っていたから。





私がSもいる前で管理者の注意を受け出した瞬間から、私と彼女との間に出来つつあった絆がプッツリと切れたようだった。これまでに見た事がないようなSの挑戦的な行動が次から次へと始まった。管理者曰く「野放し?」の状態の時にだって私の言う事はだいたい聞けていたと思うし、良い事と悪い事の区別はちゃんとついている。なのに、突然、Sの中の何かが外れたように大声は出すわ、走り回るは、手を引っ張るわ…管理者の行動はまるで逆効果のように見えた。そこから完全に彼女の統制が取れなくなってしまった。それは初めての事だったので、私はその場をどう収めたら良いかわからず窮地に立たされた。


「この状態ではとても外には出せない」と言われ、おやつを買いに行く際、管理者が同行する事になった。Sは普段と違う展開にワクワクして興奮していた。前回はSのほうから繋いでくれた手も、今日は繋ごうとしない。管理者には、無理にでも手を繋ぐように指示された。


お店に着くと、Sはおやつを「どれにしようか、コレは? こっちは?」と次から次へ手に取っていく。普段なら “買わない物は触らない” ルールが自然に出来ているのだが、今日はひどく興奮していたからか、私や管理者がその行動をどう止めるかを確認したくてわざとやっているのか、明らかに買うつもりのなさそうな物まで次々手に取ってしまう。私が言うより前に管理者が注意すると「そうだった」とすましている。そんな状態を見て、管理者は私ではなくSに「いつもそんな事してるんですか?」と険しい表情で聞いた。すると彼女は「うーん…忘れた」と言う。いやいやいやいや、いつもここまで挑戦的な行動とってないだろ? おいおい…「忘れた」はないだろ…こっちが非難されるだろ…と思ったが、それを受けて管理者は私に呆れ顔で「今までどれだけ自由にやらせていたんだか思いやられる」とうんざりした様子で私に言った。確かに私に足りない事は山程あって、上司の彼の足元にも及ばない事はわかっているし、Sのいる前で上司と口論するのも悪影響だろうと思うのでグッとこらえて反論はしなかったが、おそらくSは私が怒られるところを見たくて「忘れた」と言ったのだと思う。だからSの今日の悪態の大半は、管理者が引き出したと思うんだ。





私はこの出来事に到底納得できないでいる。最初に「自分のやり方を見つけなさい」と言われ、相当時間が経った今頃に子供の行動のごく一部分だけ見て「ルール作りができてない」とか「野放し」だとか言われ、だったら私が対応に困って質問したりしていた時に、私と子供のコミュニケーションをもう少し注意深く観察してアドバイスくれれば良かったのにと思うし、今更掻き回してもっと酷くされてももっともっと収集つかなくなるし本当に困る。






ーーー私、管理者とこんなに相性悪かったか?






こんなに仕事やり辛くなるなら、同じような施設の求人は何件も見てきた、なにも酷い評価のまま今の職場で働く事もないじゃないか。仲良くなった子供と会えなくなるのはとても寂しくて後ろ髪引かれる思いだが、頑張っている事に対しての配慮・評価が全くなく、結果だけで(しかも一部分だけ見て)批判されたのでは堪らない。以前の職員大量離脱の話も、同僚の愚痴にも全て合点がいく。管理者も人間であるから完璧じゃないってわかるけど、自分のやり方には非がない感が半端ない。めちゃくちゃ腹が立つ。









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